競泳女子で100メートルバタフライなど複数の種目で日本記録を持つ池江璃花子選手が、自身のツイッターで、「白血病」と病院で診断されたことを明らかにしました。
池江選手は12日午後2時すぎに自身のツイッターを更新しました。
池江選手は「ご報告です」と題し、「この度、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、『白血病』という診断が出ました」と報告しました。
また、「しっかり治療をすれば完治する病気でもあります」としたうえで、ことし4月に開かれる競泳の日本選手権については「出場を断念せざるを得ません。今は少し休養を取り、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。これからも温かく見守っていただけると嬉しいです」とコメントしました。
池江選手は東京都出身の18歳。女子100メートルバタフライなど複数の種目で日本記録を持ち、来年の東京オリンピックではメダルの獲得が期待されています。
先月からオーストラリアで強化合宿をしていましたが体調の不良を訴えて予定を早めて帰国し、現在は病院に入院しているということです。
去年のアジア大会ではMVP
池江璃花子選手は東京都出身の18歳。水の抵抗が少ない美しい水中姿勢と、大きく伸びやかな泳ぎが持ち味で、16歳で初めて出場した2016年のリオデジャネイロオリンピックでは7種目にエントリーし、100メートルバタフライで5位に入りました。
去年4月の日本選手権では出場した4種目すべてで自身の持つ日本記録を更新するなど、現在、個人種目ではバタフライと自由形の5種目で日本記録を持ちます。
また、去年のジャカルタアジア大会では6個の金メダルを獲得してMVP=最優秀選手に選ばれました。
東京オリンピックのメダル獲得を目標に、去年から元オリンピック選手の三木ニ郎氏をコーチに迎え、海外勢とのパワーの差を埋めるためのトレーニングを重ねていました。
白血病とは
白血病は、主に、血液中の「白血球」やその元になる細胞ががん化して無制限に増殖する病気です。
白血球を作る骨髄で異常が起きて正常な血液細胞が作られなくなると、発熱などに加え、貧血に伴う息切れやどうき、けん怠感などの症状が出るほか、特定の臓器で白血球が増えすぎると炎症などのさまざまな症状が起こります。
治療は白血病の種類によって異なりますが、がん化した血球を減らすため抗がん剤が使われるほか、正常な白血球などを作る幹細胞を新たに移植する治療が行われることもあります。
10代女性の白血病は130人余
全国のがん患者のデータである「全国がん登録」によりますと、平成28年の1年間に新たに白血病と診断された人はおよそ1万4000人で、このうち5000人余りが女性でした。
年代別にみますと、60代以上が多く、10代で診断された人はおよそ250人で、そのうち女性は130人余りでした。
白血病専門の医師の話
日本医科大学多摩永山病院の尾崎勝俊血液内科部長は、白血病について、「白血病にかかる人は60歳以上が多く、若い年齢で白血病になる人は少ないと思う。ただ、若いほうが抗がん剤を使う化学療法に対する耐性があり、副作用の影響も少ない。また今回、早期発見できたということであれば、治療はしやすいと思う」と話していました。
また、今後の治療などについては「白血病の種類によっては入院が必要になることもあるので、そうした場合には練習を中断する必要が出てくるかもしれない」と話していました。
白血病を経験した女性から寄り添う声
白血病を公表した競泳女子の池江璃花子選手に対し、白血病を経験した人からは、みずからの体験も重ねながら寄り添う声があがっています。
東京渋谷区でがん患者の声を発信するNPOの共同代表を務める羽賀涼子さん(48)は、高校1年だった16歳の時に急性リンパ性白血病を発症しましたが、骨髄移植を受けて回復し、その後2人の子どもを出産しました。
羽賀さんは「病気がわかったばかりで、今後のことはとても考えられない状況だと思いますし、病気になると誰かに迷惑をかけているのではないかと自分を責めてしまうこともあると思いますが、自分に優しくして過ごしていただきたい」と池江選手の気持ちを思いやっていました。
そのうえで、池江選手が病気の公表を選択したことについて「勇気がいることですが、皆さんに知ってもらって頑張るんだという意思の表れなのではないかと思います。応援している人はたくさんいるはずですので、病気を克服して今以上に活躍してくださることを願っています」と話していました。
スポーツ界などで白血病から復帰した人
スポーツ界や芸能界で白血病から復帰したケースです。
サッカーJ2のアルビレックス新潟に所属する25歳の早川史哉選手は、3年前の平成28年に白血病と診断され選手契約を一時、凍結されましたが、闘病生活を続けた結果、回復して去年8月、トップチームの練習に参加したあと、その年の11月に本格的に復帰しました。
また、芸能界では、俳優の渡辺謙さんが平成元年と平成6年に白血病のため入院しましたが、その後、ハリウッドにも進出するなど世界的に活躍を続けています。
歌舞伎俳優の十二代目・市川團十郎さんも平成16年に白血病と診断されましたが、2年後の平成18年に復活を果たしその後、平成23年からは、「全国骨髄バンク推進連絡協議会」の会長として力を尽くしました。
NHK公式ホームページ:http://www.nhk.or.jp
NHK 公式Twitter:@nhk_news