今回はもし、城の主がオオカミでなかったら誰がいいのかなと、焦点を絞って読んでみました。
なぜ、「このように思い始めたか」。
その理由は、突然5月にこの城の存在を知ったこころは、何が起きたのか把握できないまま、出入りの許可が下りた現実をすぐに受け止めきれませんでした。まぁ、無理もないことだと思いますし、私はももしこの経験をしたらびっくりしすぎて、気絶するかもしれないと思っています。それも、オオカミが目の前にいたらと思うと、確実に緊張しそうです。
彼女自身も、「不思議の国のアリスに出てくるうさぎ」とかならいいなぁと、初めて訪れた直後に思っていました。
そこで、どんな動物ならいいかなと想像してみました。ピカチュウ…、くまのプーさん・ミッキーマウス・「美女と野獣」の野獣・ドラえもんなど。
まず、ピカチュウはひたすら明るいイメージがありすぎて、却下。
くまのプーさんとミッキーマウスは、癒しだけでこれまた向いてないかと。
「美女と野獣」の野獣は、インパクトありすぎて一番ドン引きしてしまうかもしれません。それに、彼は最終的に人へもどるのでしたよね。うーん、そうなるとやはり無理かと。
そうなると、ドラえもん!アイディアもアドバイスもできる頼もしい存在ですよね!ただ、最適とは言いづらいかな。シンデレラ城のような場所に、ドラえもんがいる事を考えると、完全に浮くかなと苦笑いしたくなりました。結局、私の中で適任が選出できないまま終わりました(笑)
皆様は、いかがでしょうか?
本書は、中学一年生のこころは、ある出来事を機に学校へ行けなくなり、いつも家で過ごしている。ある日一人で家にいると、部屋の鏡が突然輝き始め、潜り抜けてみると、そこは城の中だった。集められたのはこころを含め、似た境遇にいるらしき中学生が七人。九時から十七時まで滞在が許されるその城で、彼らにはひとつの課題が出される。猶予は一年。戸惑いながらも七人は、少しずつ心を通い合わせていくのだが……。
ああ、久々に初期の頃のような青春小説を書いたのだな……と思いながら読み進めた。自分も思春期にこんなふうに傷ついていたなと思い出すというより、自分があの頃傷ついたのは、こういうことだったのか、と気づかせる描写の巧さに唸る。だが途中で、それだけではないと気づいた。これは、あの頃の気持ちを失わないまま、かつ、大人としての目を持ち合わせるようになった今の著者だからこそ書ける作品なのだ。泣けるのは娘を理解しようと手探りする母親の戸惑いや怒りや喜びが、それに無自覚なこころの目を通しながらもありありと伝わってくる点。子どもが大人に望むことはもちろん、大人が子どもに対して思うことを、こんなふうに巧みに表現してのけるとは。
大人も子どもも、みんなが関係を構築していこうとしている。その部分だけでも充分読ませるが、もちろんミステリーパートも秀逸で、孤城の秘密がすべて明かされていく終盤は驚きの連続。それがまた、胸をしめつける真相だ。救いを求める側から救う側へとなった時、人は本当に救われるのだとも気づかせてくれる一冊となっています。
お読みになられた方は、どれほどいらっしゃいますか?