お隣の国、韓国でピョンチャンオリンピックが開幕します。IT大国とも言われる韓国から、2年後にオリンピックを控えた私たちも学ぶことが多いのではないか。そんなことを取材するために派遣されたわれら取材班。今回は、空港から現地への交通アクセスや案内はどうなっているのか、韓国語が話せない私が検証してみました。(ネットワーク報道部記者 佐伯敏)
スタートはインチョン国際空港
成田空港から2時間40分、韓国の玄関口、インチョン国際空港です。到着ロビーで目立ったのはピョンチャンオリンピック・パラリンピックの公式マスコットたち。左がオリンピック担当、白虎の「スホラン」、右がパラリンピック担当、ツキノワグマの「バンダビ」だそうです。
記念写真を撮影する子どももちらほらいて、私も1枚。うきうき感が共有できます。さて、本題。空港は朝鮮半島の西側、目指すピョンチャンは東側、半島を横断しなければなりません。高速バスもありますが、やはりオリンピックに合わせて空港から大会会場まで直行で結べるよう開通した高速鉄道「KTX」で行ってみたい。そのKTX、どこに行ったら乗れるのでしょうか。
ロボットが案内してくれる!?
この時期、ピョンチャンまで行きたいという観光客は多いはずで、なにか案内はないものかと到着ロビーを端から端まで歩き回りましたが目についたのは選手や大会関係者向けの案内デスクだけ。
通常のインフォメーションデスクに行こうかと思ったところで、これに出くわしました。
そう、案内ロボット「エアスター」です。子どもの背丈ほどあるこのロボットは韓国のLGエレクトロニクスが開発したもので、韓国語はもちろん日本語と英語、中国語を音声で認識して、さまざまな説明をしてくれます。
すごいのはロボットみずから道案内をしてくれること。タッチパネルで「KTX」を選び、「エスコートを要請する」の文字を選択しました。ただ、この日は調子が悪かったのか無反応。何度お願いしても案内してくれませんでした。
エアスターの名誉のために書いておきますが、ネット上には実際に案内してもらった人たちの称賛の声が寄せられています。
ARで案内にチャレンジ!
ロボットがダメなら次の手。AR、拡張現実の技術を使って目的地まで案内してくれるアプリを紹介しているコーナーを見つけました。早速WiFiを使ってこのアプリ「ARWays」を早速ダウンロードしました。
このアプリ、スマホの画面に自分がいる場所が写され、目的地を選ぶと画面の中に進むべき方向が矢印で表示されるというものです。矢印の方向に歩くと、残りの距離が1メートル、また1メートルと減っていくのがなんとも心地よい新感覚。歩きスマホの状態になるので周囲に十分注意する必要がありますが、これさえあれば道に迷うことはないかもしれません。
ただ、時々無理な移動を提案されることもありました。それがこの写真。
私のスマホには37メートル先に進めって表示されているけど目の前は壁です。こういう時は、アプリを立ち上げ直したりスマホをいじったりしているうちにちゃんと案内してくれました。
いよいよKTX
こうして無事、KTXの窓口にたどり着きました。でも実を言うと私、チケット予約していませんでした。というのも前日にネットで調べたときにはすべて満席。仕方ないので高速バスのチケットを確保したうえで、だめもとでKTXの窓口に行ったのです。
すると、なんともラッキーなことに空席があるとのこと。窓口の女性いわく「けさ、大量にキャンセルが出た」
ちょっと腑に落ちませんが、まあ、よしとしましょう。もしKTXに乗れない場合は、空港から高速バスを利用するか、ソウルまで移動し、ソウル駅始発のKTXに乗るという手もあります。
ただ、韓国の旧正月にあたる2月15日から18日にかけては公共交通機関の混雑が予想されるので、注意が必要だそうです。
KTXは快適
そうこうして乗ったKTX。一言で言えば、快適です。トイレや売店があるのはもちろん何より簡単な操作でWiFiにつながったこと。スマホでWiFiにつなげる操作をするとあとは画面の指示通りでパスワードもいりません。これは日本も見習って欲しい点だと感じました。
降りる駅を間違わないで!
さて、今からこの記事のなかで、いちばん大切な情報を書きます。もしKTXで現地に行かれるのなら降りるべき駅は「チンブ駅」です。「ピョンチャン駅」もありますがオリンピックのメインスタジアムなどがあるのはその次の「チンブ駅」。各会場に向かう無料のシャトルバスのほとんどが出ているのもチンブ駅。(一般向けは8日からです)
ぜひ覚えておいて下さい。
寒い!バスターミナル
シャトルバスのバス停は屋外です。ピョンチャンの寒風が容赦なく吹き付けます。私が取材したときも各国から集まってきたメディア関係者が、バスがなかなか来ない中寒さに悲鳴を上げていました。
ピョンチャンは場所によって道が狭いため、シャトルバスに遅延が出てバス停が混雑する可能性があるとのことです。
ここで活躍していたのが、案内のボランティアの人たち。私たちにバスの遅れについて英語で説明してくれた2人は20代の大学生でした。この寒さのなか9時間も働いているということでした。頭が下がります。
ピョンチャンのメイン会場に到着
チンブ駅からバスに揺られること20分余り。ピョンチャンのメイン会場付近に到着です。
このとき撮影した写真、寒さから身を守るための防寒具は必須です。
インチョン国際空港から3時間余り、高速鉄道の整備や最新技術を取り入れたスマホアプリのおかげで、ピョンチャンへのアクセスは外国人にもわかりやすく快適な移動になっているというのが率直な感想です。
ただ、先述したようにピョンチャンの会場付近の道路事情にはやや不安も残ります。ソウル市は、オリンピック・パラリンピックを含めた2月、3月に285万人が韓国を訪れると推計しています。開会式前後、来訪者のピークを乗り切れるかが大会運営の勝負どころとなりそうです。
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