気象庁は8日、全国の活火山の7月以降の活動状況や警戒すべき点について発表しました。噴火が発生したり火山活動が高まったりして、全国の10の火山に噴火警報や火口周辺警報が発表されています。
火口周辺警報は8火山
今後の噴火によって火口周辺や居住地域の近くに影響がおよぶおそれがある火口周辺警報が発表されているのは、群馬県と長野県の県境にある浅間山、長野と岐阜の県境にある御嶽山、宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山のえびの高原の硫黄山周辺、鹿児島県の桜島と口永良部島、諏訪之瀬島、それに小笠原諸島の西之島と硫黄島の合わせて8の火山です。
噴火警戒レベル3は桜島、口永良部島
このうち、入山規制などが必要とされる噴火警戒レベル3は、鹿児島県の桜島と口永良部島に発表されています。
桜島では、7月は昭和火口で噴火が合わせて7回観測され、このうち1回が規模の大きな空振と呼ばれる空気の振動や地震を伴う爆発的な噴火でした。
南岳山頂火口では噴火は観測されませんでした。7月25日に昭和火口で発生した噴火では噴煙が高さ2000メートルまで上がったのが確認されました。鹿児島湾奥部の姶良カルデラの地下にあるマグマだまりが膨張していることを示すと見られる変化は続いていて、気象庁は今後も噴火活動が継続すると考えられるとして、昭和火口と南岳山頂火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒を呼びかけています。
口永良部島では、新岳火口付近のごく浅いところを震源とする火山性地震の回数が7月は44回と、6月に続いて少なくなりました。一方、火山ガスの二酸化硫黄の放出量は平成26年8月の噴火前よりやや多い状態が続いています。気象庁は、おととし5月の爆発的噴火と同じ程度の噴火が発生する可能性は低くなっているものの、引き続き噴火の可能性があるとして火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に、向江浜地区などでは火砕流に警戒するよう呼びかけています。
噴火警戒レベル2は4火山
火口周辺への立ち入りなどが規制される噴火警戒レベル2が発表されているのは、浅間山、御嶽山、霧島連山のえびの高原の硫黄山周辺、それに諏訪之瀬島の4つの火山です。
おととし6月にごく小規模な噴火が発生した浅間山では、山頂火口直下のごく浅いところを震源とする火山性地震の回数が7月は2021回で6月に比べて138回増えました。このうち7月1日には134回観測され、ことし2月25日以来、1日に発生した火山性地震の回数が130回を超えました。また、地下の熱水や火山ガスの動きを示すと考えられる火山性微動が合わせて9回観測されました。いずれも振幅は小さく、継続時間は60秒から1分50秒程度でした。火山性微動は、8月も振幅が小さく継続時間の短いものが7日までに3回観測されています。火山ガスの放出量は1日当たり1000トンから1400トンが観測されて多くなっているほか、夜間に高温の火山ガスなどが雲などに映って赤く見える火映現象も時々観測されました。地下のやや深いところにあるマグマだまりにマグマが供給されていることを示すと考えられる地殻変動も続いていて、気象庁は、火山活動がやや活発で今後も小規模な噴火が発生する可能性があるとして、引き続き山頂火口からおおむね2キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。
御嶽山では、平成26年10月10日以降、噴火は観測されていないほか、噴煙活動や山頂直下付近を震源とする地震活動は緩やかに低下し、火山活動は静穏化の傾向が見られています。気象庁は、噴火が発生する可能性は低くなっているものの、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。
霧島連山のえびの高原の硫黄山では、火口周辺で見られた地面の温度の高い領域が拡大し、噴気の量が増えています。また、4月25日から山が隆起していることを示す地盤の変動が観測されていて、気象庁は、火口周辺に火山灰を降らせる噴火が発生する可能性があるとして、硫黄山からおおむね1キロの範囲では小規模な噴火に警戒を呼びかけています。
諏訪之瀬島の御岳火口では、7月は噴火が時々発生しました。今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想され、気象庁は引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。
海底火山に噴火警報
小笠原諸島の近海にある海底火山の福徳岡ノ場には、周辺の海域で警戒が必要な噴火警報が発表されています。
伊豆諸島の青ヶ島の南にある海底火山「ベヨネース列岩」では小規模な海底噴火が起きるおそれがあるとして、気象庁が噴火警報を継続し、周辺の海域では警戒するよう呼びかけています。
警報なし・レベル1の火山
全国の活火山の中には警報が発表されておらず、噴火警戒レベルがレベル1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはなく、気象庁や自治体が発表する情報に注意が必要です。
熊本県の阿蘇山では7月21日、火山ガスの放出量が2900トン観測され、多くなりました。火山性地震も7月19日に267回観測されるなど多くなっています。一方、7月22日の観測では火山ガスの放出量は600トンとやや少なくなり、地殻変動のデータにも特段の変化は認められておらず、気象庁は、火口周辺では火山ガスに注意するよう呼びかけています。
火山情報の確認を
各地の火山活動の状況や注意点などは、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。
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