就学前から英語が好きで、ひらがなより先にアルファベットを遊び感覚であっという間に覚えてしまうほどでした。
母の主導の下、色々と学習機関に連れて行ってもらっていました。私には、元々の障害の一つとして四肢機能麻痺があります。これにより、書字速度も一般に比べ遅いため、たくさん書いて覚える事は現実的ではありません。この点を、考慮しながらどこに行けばいいかを良く選んでくれて、行く先々、全部大好きになりました。
その中で今、振り返ると中学時代に1年半通った地元の個人塾が唇の動きを読み取るための基礎づくりとなりました。ここでは、外国人に通じる英語を目指して、発音の徹底を求められる厳しい授業の連続でした。
先生の唇の動きと発音を吸収して自分も発音練習したり、発音された単語を書いたりするトレーニングを徹底されて、正解した時の喜びは絶大でした。
この頃はまだまだ、読唇術という言葉すら知らない時でしたが、音声以外からも情報を得る方法を知る大きな機会となり、原点です。
更なる精度向上を求めて、2007年6月から3ヶ月間(週1回)、東京都主催の読話講習会に参加しました。
この講習で学んだことをきっかけに、それまで感覚で身につけていたもの加えて、知識を増やすことができました。そして読唇術というものは、そもそもどういうものであるのかから始まり、相手にどのような対応をしてもらう事が、読み取りやすくする事に、つながるのかなど全体が網羅されていました。さらに、コミュニケーションをする時には、もちろん、読み取る側になるばかりではありません。読み取ってもらう側になる事も、必ず想定する必要があります。その点への意識を高めるために、当事者同士がペアを組み、相手の話を読み取る事も実践しました。読唇術は、もちろん唇の動きを読み取る事によって、コミュニケーションが成立します。さらに、唇だけを見ているのではなく、舌・表情筋そして、相手の反応を見てスムーズになります。
さらに理想としては、口の動きを親指1本が入る程度にして、スペースに余裕があり可能ならば、前方斜め45度から話して頂けると格段に読みとりが行いやすくなります。そして、ここで学んだポイントが大きなヒントとなり、あくまでも内容の理解は別として、日本語・英語・中国語・韓国語の違いは、読み取れるようになりました。
この他のポイントとしては、テレビ・本・雑誌などで、様々な情報にふれて知っている言葉を増やしておくことが重要です。それから、これは私がここまで運動機能的に1人で動けない事が関係しているために、より感じやすいと認めた上で…、メールでのコミュニケーションも、語彙を増やす手段としてとても有効だと思っていて、フル活用してスマホにしてから、LINEをなくして過ごすことは、完全に不可能と感じるほどです。残念ながら、ニュースではメールの悪用事例・事件を目の当たりにする事が、ほとんどです。そのリスクについては、決して軽視できるものではないのも心得ています。その点に注意しながらも、会話をしていない場合、どのような事態に陥いる要因の一つとなる危険性も考えられないでしょうか。それは、聴覚障害自体から発生するコミュニケーション障害に加えて、さらにバリアとなる引き金となりかねないと、一種の危機感があるのです。
本レポートは、聴覚障害当事者の1人として書かせていただいておりますが、音声言語でのコミュニケーションが困難・もしくは不可能な方々は、多くいらっしゃいます。言語障害を有する場合や、気管切開またはガンなどによって声帯摘出をされた方たちです。
その中で最近、より関心を寄せられた著名人が歌手 つんくさんです。
2016年3月の報道を見て、以下の通りブログに書かせていただきました。
「被災地の子供たちとコンサート」
これは、NHK「おはよう日本」で放送された歌手 つんく♂さんが中心となって、取り組まれている活動です。
一昨年、ガンのため声帯摘出。
歌を歌うことで、パワーやハートを伝える事は出来なくなりました。
しかしこの経験が、「まだまだ音楽を関わる方法はたくさんある」と新たな発見につながったのです。
コンサートで合唱する歌の作詞。
そして、指揮者と参加して、歌詞に込めた「生きる喜び」を全身で伝えていました(o^^o)♪
コンサート後、関係者の前で話す姿もありました。
現在のコミュニケーション手段は、筆談やパソコンに書いたものを代読してもらう他、LINEも活用されています。
この姿を見て、多くの聴覚障害当事者・聞こえにくい人々・声が出しにくい人・失語症の方など…
多くの人たちに、コミュニケーションの取り方は多様であることを、伝えてくれたので嬉しく、心が温まりました☆彡
さらに、聴覚障害者には、話をする事が難しい「コミュニケーション障害」と、災害発生時には、給水や食事などの提供に関する内容をうまく知る事ができない「情報障害」があると、「音のない世界と音のある世界をつなぐ 〜ユニバーサルデザインで世界をかえたい!〜 松森果林著 -岩波ジュニア新書- 」にも、明記されていて、コミュニケーションツールは、日常的に複数を使いこなせる事が大切となります。そうすれば、突然の事に遭遇してしまった時としても、最初こそ少しずつかもしれませんが、自分らしく居られるポイントを増やすことが出来て、小さな安心を積み重ねられる、きっかけになるだろうと思います。そして、その言葉を発する時に自分だったら、どのように唇・舌・表情筋を動かしているか、知っておく事で言葉数が格段に増えて、相手との会話のキャッチボールがより長く続けられるコツになると思います。
ここまでは、読唇術をするための準備段階です。
そして、この先が本番となります。
普段、ほとんど日本語を話していますが、人の口形や話し方、そして方言などによって少しずつそれぞれ違うものです。
そのため、単に日本語である事にこだわり過ぎると、意味を理解する事ができなかったり、たまには1単語も読み取れなくなるのです。
結果として話がつながらず、頭の中で混乱し、楽しめなくなるのです。
そこを少しでも、クリアにしていくために大事なのが、多言語に触れることなのです。
私は、幼い頃から英語が好きでずっと発音重視の教育を受けさせてもらいました。中国語は、高校の選択科目としてかじっただけです。韓国語は、テレビドラマなどを眺めるだけです。
それでも、言葉にこんなにも違いがあるのかと、たくさん気づかせれてくれるほど、感じるものが多いです。
日本語は、はっきりした発音で静かに話す標準語がベースとなっています。
それでも、口形やその人が慣れ親しみ使ってきた方言によって、全く違う言語に見える事が多々あります。
それは、同居する家族であっても例外ではないと日々、感じています。
私の両親は、母は京都出身、父は埼玉出身です。
母は、口形もテキストにしたいほど読唇術に最適で、生活に困らない程度の手話も知ってくれているので、コミュニケーションはスムーズです。
手話を知ったのは、小1の時でした。きっかけは、身近に1人の聴覚障害当事者の方がいて、少しでもコミュニケーションを楽しみたくて、少しずつ覚えていきました。
成長するにつれて、声も出すのも不可能な症状を襲われる事も多くなり、自分の意思を伝達するためのツールとして、活用し始めました。指文字を母から教えてもらって以降、使う事が増えました。聴覚異常を感じた際にも、小児科医に、手話を使いながら症状を伝えようとしました。
しかし、「話せないなら手話を使うことを理解するけど、話せる状況で使うのは、話す事から逃げている。」と言われて、一瞬戸惑いました。
そこで、すかさず対応してくれたのが母でした。
手話を使いながら「私に症状を伝えなさい」と言ってくれた事に、救われました。今振り返ってみても、母に感謝する気持ちに変わりはありません。そして、症状そのものを体験する事にも、場合によって怖さを感じることも多いです。そして、症状を伝えられない事はそれ以上に不安や恐怖をよびかねないと思った事が、未だに頭から離れることはありません。
さらに、母の唇が読みやすいのは私だけではありません。
読話講習会で知り合った女性と、1度だけ話したことがあり、「初対面だけど、分かりやすい」と感想を伝えて頂いた事があります。
一方で父は、口形から言葉を読み取るのは難しい上に、一つも手話を知らないので、とにかく読唇術を行う以外の手段がない現状が変わる事なく、今に至っています。そのため、彼と話す時は、いかに少しでも聴き直さない事を意識した上で、話し方は、どの言語に近くて、多く話す言葉をとにかくインプットし続けているので、ある種の緊張状態の中にずっといるのです。
ここで、母とのコミュニケーション手段の一つとしてふれた手話について、さらにお話させていただきます。
手話は、世界共通と思われがちですが、その国によって、それぞれにあります。
ですが、単語は共通しているものは多くある事から、通じやすいようです。
以下は、「耳と脳」を読了した時にブログに掲載したものです。「日本手話と日本語対応手話」についての解説を、原文のまま紹介させていただきます。さらに、私にとって、読みやすいものがどれかについても明記しています。
ろう者による自然生成言語としての日本手話と、聴者が日本語に対応させてつくった日本語対応手話は言語的には全く別物である。
韓国手話、台湾手話、日本手話は単語において60%(諸説あり)ほど共通しており、日本手話の話者は韓国人や台湾人との手話コミュニケーションが聴者のそれに比べると難しくない。
また、日本語対応手話が日本語の文法に合わせた手や指、腕を使う手指動作だけで単語を表現するのに対して、日本手話は、視線・眉・頬・口・舌・首の傾きや振り・あごを引いたり出したりなど非手指動作も用いている。SVO型の語順の文法も用いられている。日本手話はその意味で、日本語あるいは日本語対応手話とは全く異なる体系をもつ言語である。日本手話では聴覚言語に固有といわれるプロソディ変化の表現も可能である。プロソディとは、発話において現れる音声学的性質で、その言語の一般的な書記記録からは予測されないものすべてをいいます。具体的には抑揚あるいは音調、強勢、音長、リズムなどを含むが、これらのうちで文脈によって異なりうるものを指すのであって、その言語で決まっているアクセント(高低アクセントあるいは強勢アクセント)、声調言語の声調、音長を弁別する言語における長母音・短母音の区別といった性質は含まない。
韓国手話、台湾手話、日本手話の共通性は、日本統治の影響と考える説や日本手話がろう者による自然生成言語であるために、文化的背景が同じ地域の民族で共通項があるのだとする見解など諸説がある。
人工内耳装用しても、健聴者と同等の聴力を得るわけではない(重度難聴から軽度難聴あるいは中等度難聴の状態になるだけ)。また、装用してから初めて文法体系を学習させるのは非常に不利である。聴覚口話法やキュードスピーチなどと併用して行うだけでなく、日本語対応手話の学習も併せて決して否定されるものではない。例えば、健聴の両親のもとに生まれたろう児に対して人工内耳装用までの期間、日本語対応手話を用いたコミュニケーションを積極的に行えば、あらかじめ語順(文法)を学習することができる。生活のなかでの所作・作法といったしつけ教育は作業記憶として後々に抽象的な言語(「しゃきっとする」など)を獲得していく際の手助けになるであろう。日本語対応手話の語順を学ぶことは、書記言語の学習効果もあがることが期待できる。
先ほどのキュードスピーチとは、読話の補助をするために,手指による手掛かり(キュー・サイン)を用いてコミュニケーションをする方法のこと言い、この中にもあるように、主に言語確立がまだ出来ていない方々が活用されています。
このような解説をしていただけると、当事者としてありがたいですし、自分も誰かに説明するときのテキストにしたいです(^-^)ろう者が国際交流を行う際に公式に用いるために作られた手話、「国際手話」もあります。各国の手話を元にした一種のピジン言語です。世界ろう連盟やデフリンピックをはじめとするろう者の公的な国際交流の場や、他国への旅行・交流などのより私的な場でも意思疎通を図るために用いられています。しかし、各国の手話の方がそれぞれに浸透しており、広まっていないのが現状です。
私は、日本語対応手話の方が読み取り慣れています。
読話講習会を受講していた時に、ろう者による日本手話のDVDを見たことがありますが…。
それは、手話で話されている当事者の方の話す事への集中力がずば抜けていて、早すぎて一語も読み取れなかった経験があります。
今は、手話があるニュースを見ていると話しているのが、聴者か聴覚障害当事者のかはすぐに判断できるようになっています。
聴者は、手話で話す時にも口話の時と同じように、唇を動かします。一方、聴覚障害当事者はポイントとなるところのみ唇を動かすので、ここが大きな違いとなります。
さらに、「ろうを生きる 難聴を生きる」で日本の手話の原点を知り、次の通りブログに記載しました。
「ろうを生きる 難聴を生きる」
今回は、短縮版の再放送で、日本の障害児教育の先駆者が紹介されていました。
古河太四郎は、教師でした。
人の暮らしが少しでも楽になるようにと思い、実行の最中に、書類の不備により懲役刑を受ける事に…。
この時古河は、獄舎の窓ごしに、聞こえない子どもたちがいじめられている姿を目にします。
「教育の機会さえ与えれば、この子たちの人生は変わるはずだ」。
そう感じた古河は、明治11年に京都盲唖院(のちの 京都府立盲学校と京都府立聾学校)を設立しました。
彼はまず、五十音に合わせた指文字を考案。
さらに、手話を使った教育に加えて発音の指導もしました。
さらに、京都府立聾学校に残されている史料を読み解くと、発音の方法も絵で示すことで、聴覚障害児自身が特にどのように舌を動かせばいいのか習得できるように丁寧に解説されています。
もし、彼がここまで熱心に、障害児教育に携わっていなかったら…
障害児への指導の広がりや、障害児自身の学ぶ事の喜びを日本で味わえる日は来なかったかもしれないと思い、感謝の気持ちでいっぱいになりました((#^.^#)
さらに、世界と国内の大学では、聴覚障害当事者に対しての教育体制は、次のようになっています。報道などで、特に目にする事が多いのは、こちらです。
世界では、アメリカにあるギャローデット大学。
大学内でのコミュニケーション手段はアメリカ手話(ASL)と書記英語(英語版)です。アメリカ手話は、学生、スタッフ、教職員、学長など、全ての人が習得しています。手話を知らない新入生、新採用になった教職員、他国からの留学生は新学期に備えて手話講習会に出席し、これを習得する必要があります。
国内では、筑波技術大学が聴覚障害者及び視覚障害者の特性に配慮し、学部教育全体を通じた効果的・弾力的な履修が出来るよう、指導上の配慮を図ることにより、新しい高等教育を展開しています。